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手軽に楽しむ ≪お香編≫

1.お香って不思議

お香の香材って香木も含めて漢方薬の原料や香辛料としても使われているって知っていましたか?
沈香や白檀には、緩やかな鎮静効果があり緊張や不眠、興奮、精神疲労に効果があるとされ、中国では漢方薬としてお湯に溶かし服用されています。また抗菌作用があるという報告もあるようです。
多種香の原料には、桂皮(けいひ:シナモン)、大茴香(だいういきょう:スターアニス)、丁子(ちょうじ:クローブ)、安息香(あんそくこう)、乳香(にゅうこう)、竜脳(りゅうのう)、三奈(さんな)、貝香(かいこう)、藿香(かっこう)など漢方薬や香辛料として使われているものもあります。漢方薬は、一般的に粉末にして服用したり煎じて飲んだりしますが、お灸の百草のように燻して使ったり、韓国では乾燥したヨモギを加熱するサウナもあります。このように加熱することによって薬効成分を取り出し、体内に取り込んでいます。お香って身体に良さそうな気がしませんか?

2.なぜ偽物が多いの?

使用するお香といってもいくつかの種類があります。香木では伽羅、沈香、白檀がその代表的な物ですが、寺院のお焼香によく使われる多種香(いくつかの香材が配合されている)というものもあります。お香の値段は、グラム数十円の多種香からグラム十数万円の伽羅までピンキリです。伽羅や沈香は乱獲により厳しくワシントン条約で規制され、白檀の最高峰といわれる老山白檀も産地であるインドで輸出が禁止されたため、その値段は高騰の一途をたどっています。最近では高品質な人工栽培物の沈香も作られるようになってきましたが、天然物はとても希少なため、天然物と偽った粗悪な加工品などの偽物が多数出回っていますので注意が必要です。

3.お香の形状

お香として楽しむためには、元々の香材から何らかの形に加工しなければなりません。ここではお線香のように加工されたものは除き香木についてお話します。香木をお香として使用するために、姿物(原木)、チップや角割(分割)は細かくする必要がありますが、既にお香として使用できる形に加工されたものが刻みや抹香になります。姿物(原木)でしたら削る部位による香りの違いを楽しむこともできますが、お手軽に楽しむためには、刻みや抹香がお奨めです。

4.失敗しない香木の買い方

詳しくは「香木のつぶやき」で書きましたが、高品質なベトナム産の天然物沈香は現地でも本当に品薄でとても高騰しています。人工栽培物が良くなってきたとはいえまだまだ粗悪品が多く出回っています。ベトナムのお土産屋で売られている物や某オークションサイトで売られている物の8~9割が偽物だと言われています。高額な代金を支払って偽物を買わされたら悲しいですよね。

大切なことは、先ず香り的にも値段的にも自分自身でお香として十分満足できる基準となる香木を見つけることです。香りは個人差が大きく、個人でも体調などによって感じ方が変わります。更に最近の偽物はとても精巧な物もあり本物と鑑別が難しい場合もあります。数百万円もする姿物であれば鑑定してもらうという手もありますが、手軽に香を楽しむといった場合には現実的ではありません。

そこで最初は授業料だと思って、信頼のできるお店や老舗の香舗のグラム2000円から3000円くらいの天然沈香の刻みを数グラムで構わないので購入してみてください。甘さのある香りが好みであればシャム沈香を、スパイシーな香りが好みであればタニ沈香の刻みを選べばよいのですが、ベトナムの一部地域でしか採れない伽羅の香りに通じるということで先ずはシャム沈香をお薦めします。タニ沈香はシャム沈香に比べ安めですが、シャム沈香でこのくらいの値段であれば十分本来の香りが楽しめるランクです。この沈香を基準にして、手軽にアロマとして香りを楽しみたいとか日常的に香らせたいのであればもう少しランクを落とすことも可能ですし、もっと芳醇で濃厚な香りを楽しみたいのであればランクを上げればよいのです。

天然物といっても安いものは、樹脂の多い部分を残すために削った樹脂の少ない木部を刻んだものが多いのであまり香りは期待できません。もう一つ注意しておきたいのが、香木といってもいくつも種類があり、樹脂が多いからといって必ずしも香りを楽しむことに適さない工芸用の香木があるということです。一方で、人工栽培物でも天然物に近い高品質な物であれば、安価で十分香りを楽しむことができます。ちなみに当店の刻みは、人工栽培物でも最高ランクの自然栽培物なので限りなく天然物に近い香りがしますので、アロマとして十分楽しんでいただけます。